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8月
 
 標高の高い山では登るにつれて樹木の数がだんだん減ってきます。そんな高山の岩場や砂利の上では、必死にはりついている植物を見ることができます。そんな「高山植物」に出会えることが登山の魅力のひとつと言えるでしょう。
 高山植物が育つ山地は、気温が低く常に強風が吹きつけます。また、土壌の水分が乏しいため、植物にとってかなり過酷な環境です。このような厳しい環境に、高山植物はどのようにして適応しているのでしょうか。
 一般に、高山植物は草丈が低く、とてもしなやかな茎や枝を持っているので、高い山に直接吹き付ける強風にも耐えることができます。また、深く広がるがっちりとした根を持っていることも特徴のひとつです。
 根を発達させることで、乾燥した斜面でも水分を効率よく吸収することができるのです。このように、高山植物は、私たちが普段目にする草花が育つことのできない厳しい環境の下で、自分自身の姿を順応させて力強く生きているのです。
 夏に高い山を登っていくと、突然、あたり一面に「お花畑」が出現することがあります。この花々は高山植物で、厳しい環境に順応して生きている植物です。
 標高の高い山地では積雪期間が長いため、地上で生育できる期間は限られます。短い夏の間に、高山植物はいっせいに色鮮やかな花を咲かせ、登山者の目を楽しませてくれるのです。
 全国で8月に見られる高山植物のうち、その地域にしか生息していないとされる固有種をいくつかあげてみました。
北海道・夕張岳(ゆうばりだけ)では、穂の形をした花を咲かせるユウバリソウがみられます。
 本州北部の早池峰山(はやちねさん)では、ハヤチネウスユキソウとナンブトウウチソウと呼ばれる花を見ることができます。ハヤチネウスユキソウはエーデルワイスに似た白い花として有名で、ナンブトウウチソウは薄紅色が特徴です。
 また、本州中部の八ヶ岳(やつがたけ)の中腹では、小さな黄緑色をしたヤツガタケキンポウゲが花を咲かせます。
山梨県の鳳凰山(ほうおうざん)では、下向きに咲くことが特徴的な青紫色のホウオウシャジンがみられ、鳳凰山のすぐ近くの北岳(きただけ)では、頂上付近で黄色のキタダケキンポウゲの姿を見ることができます。
 そして、鹿児島県の屋久島(やくしま)でも高山植物を見ることができます。屋久島の山頂付近の岩のすき間にはこの時期ヤクシマリンドウが青紫色の花を咲かせます。
 高山植物のピークは初夏のころですが、8月でもこれらの花を楽しむことができます。最近では、花を摘み取ってしまう人が後をたたず、どの花も数を減らしています。毎年高山植物を目当てに足を運ぶ人はあとをたちませんが、貴重な花々を大切にしていきたいものですね。
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