夜空の星にあまり興味のない方でも「天の川(あまのがわ)」という名前は聞いたことがあるでしょう。
天の川は夏の今がいちばん夜空高くに見える時期で、眺めるには絶好の機会といえます。
天の川はカシオペヤ座からはくちょう座、わし座、さそり座にかけて夜空にぼんやりと帯状の光を放っており、まさに天上に横たわる大河のようです。
そのため、古代人たちは天の川を地上の川と関連づけて考え、エジプトでは「天(てん)のナイル」、バビロニアでは「天のユーフラテス」、インドでは「天のガンジス」という意味の名前を付けました。
この天の川の正体は小さな星の集まりです。夜空に点々と輝いている光が集中していることであたかも星の川のように見えるのです。
最近は、夜間の照明が多くなった影響で、天の川を見たことがないという子供が多くなりました。この夏休みは少し郊外に出かけて夜空にかかる天の川を眺めてみてはいかがでしょうか。 |
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天の川は、たくさんの星の集まりです。
これは、太陽と同じような星(恒星)がおよそ2000億個も集まってできている銀河系の姿なのです。
そして太陽はそれら恒星のたった一つの星でしかなく、私たちの地球のある太陽系は銀河系のほんの一部分に過ぎません。
ところで、天の川はなぜ帯状の形をしているのでしょうか。それは、地球ひいては太陽系が銀河系のどこにあるのかということに大きく関係しています。
18世紀、イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルは
天の川の観察によって銀河系の形を想像しました。天の川はぐるりと地球を囲むように帯状に広がって見えます。このことから、彼は銀河系は平らな円盤のような形をしているものと考えました。
また、いて座やさそり座のあたりで天の川の幅がやや広く、ひときわ明るくなっていることから、ここが銀河系の中心部であり、その中心はふくらんでいると結論づけました。
今では発達した観測技術のおかげで、円盤形の銀河系の直径は約10万光年であることや、地球が存在している太陽系は銀河系の中心から約3万光年離れていることなどが分かってきました。
地球から銀河系が帯状に見えるのは、太陽系が銀河系の中心から離れたところに位置しているからなのです。
天の川は宇宙の彼方にあるものと思いがちですが、実際には私達は天の川の中で暮らしていたのですね。 |