冬の間閉ざされていた山も雪がとけて観光シーズンに入る所が多くなっています。中央アルプスや北日本の山々では雪どけが進み春らしくなってきました。もうすぐやってくる大型連休中に春山にでかけられる計画の方も多いのではないでしょうか。
雪どけとともに春を告げる花のひとつにミズバショウがあります。ミズバショウはサトイモ科の大型多年草で、春に花を咲かせます。ミズバショウの花の色はと聞かれると、白色と答えてしまいそうですが、白い部分は花びらではなく葉が変形したものです。この部分は、仏様の後ろの炎に似ていることから、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれます。
では、本物の花はどこにあるのでしょうか。仏炎苞の中央にある花序(かじょ)と呼ばれる円柱状の部分の表面に小さくたくさんついているものが花なのです。
ミズバショウの花の時期がおわると、今度は緑の葉が繁り、大きい物は長さ1メートルにも達します。この大きな葉がバショウの葉に似ていることからミズバショウという名前がついたと言われています。 |
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ミズバショウといえば、群馬・福島・新潟の3県にまたがる尾瀬が有名ですが、その他にもたくさんの群生地があります。
北海道の網走湖では例年ならば4月下旬に見頃となり、朱鞠内湖(しゅまりないこ)では遅れて5月中旬から5月下旬にかけてが見頃です。
また、本州では青森県の八甲田山(はっこうださん)や尾瀬などで5月中旬頃から見頃を迎えます。
新潟県の妙高高原は標高の低い所では4月下旬からで、標高の高い所でも5月下旬にはベストシーズンとなります。
さらに6月中旬からは長野県の栂池高原(つがいけこうげん)でもミズバショウの季節になります。
このミズバショウは日本全国に自生しているわけではなく、雪の少ない西日本や、東日本の太平洋側などには生息していません。
兵庫県大屋町(おおやちょう)の加保坂峠(かほさかとうげ)は、ミズバショウ分布の南西限として知られており、ここではミズバショウ公園を設けて保護しています。加保坂峠の見頃の時期は4月中旬から5月上旬にかけてで、大型連休の頃がもっともよい見頃の時期となっています。大型連休中、山へ行かれる方は、湿原に咲くミズバショウを探してみてはいかがでしょうか。
ただ、この時期は雪どけ水の影響で川は水量が多く、雨が降ったときは川でない所でも水があふれる恐れもありますので十分ご注意ください。 |