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11月
 
 「さざんかさざんか咲いた道、たき火だたき火だ落ち葉たき」の童謡は誰でも一度は口ずさんだことがあるのではないでしょうか。
 木々に花が乏しくなる晩秋から初冬にかけて、路地の垣根に色を添えるのが山茶花(さざんか)の花です。さざんかは沖縄や奄美、九州、四国などの温暖な地域に自生しているツバキ科の植物で、もともとは白い花を咲かせますが、江戸時代からの品種改良によって、赤紫色や桃色などの色が増えました。
 また、丈夫な枝や幹にたくさんの水分が含まれているため燃えにくく、家の周りに植えて火災を防ぐ防火樹(ぼうかじゅ)としても活用されています。
 さざんかとよく似た形の赤い花を咲かせるのが、一般に椿(つばき)といわれるヤブツバキです。一見するとよく似た二つの花ですが、それぞれの違いをご存知でしょうか。
まず、花が咲く時期に違いがあります。寒つばきなど、種類によっては冬に咲くものもありますが、つばきの季語が春であるように、代表的なヤブツバキは春に咲きます。
 一方さざんかは、季語が冬であるように晩秋から初冬にかけて咲くのです。また、自生する地域にも違いがあり、つばきは北海道を除く全国で自然の中に見ることができますが、さざんかは沖縄と西日本の一部だけです。
 さらには花の終わり方にも違いがあり、つばきは花ごとポトリと落ちるのに対し、さざんかは花びらがバラバラに散っていくという特徴があります。
 さざんかの咲くこの時期、西高東低の冬型の気圧配置が多く見られるようになってくると、太平洋側の地域は晴れる日が多くなってきます。
 ところが、時にしとしとと降る雨が数日の間続くことがあります。この長雨は「さざんか梅雨(づゆ)」とよばれています。他にも季節の変わり目で長雨が降りやすい時期には、それぞれの名前が付けられています。
 冬から春の菜の花が咲くころの長雨は「菜種梅雨(なたねづゆ)」、春から夏の梅の実がなるころは「梅雨」、夏から秋は「秋霖(しゅうりん)」、そして秋から冬は「さざんか梅雨」とよばれています。
 さざんかの咲くこの時期の長雨を表す言葉には、このほかに「さざんか散らし」や「さざんか時雨(しぐれ)」などといったものもあります。
 さざんかの花びらを散らす冷たい長雨は、本格的な寒い冬の訪れを知らせてくれます。雪が見られるのももうすぐかな、とそんな季節の移ろいを私たちに感じさせる花がさざんかなのです。
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