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天気情報

 
10月
 
 季節の移り変わりとともに、空に浮かぶ雲も入れかわっていきます。
 俳人正岡子規は、雑誌「ホトトギス」の中でこの様子を「春雲はわたの如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如く、・・・」と表現しています。
 春は太陽の光で大地が熱せられ、空気も暖められて上昇し、わたぐもができます。
 夏は、春以上に空気が暖まってわた雲がさらに発達し、入道雲や雷雲に代表されるような、もくもくとした巨大な雲が特徴的です。
 秋になると、うろこ雲やいわし雲、まだら雲などと呼ばれる雲がしばしば見られ、その姿は小石を敷き詰めたようだったり、風に吹かれた砂丘の表面にできる風紋のようにも見えます。
 そして冬、特に日本海側で時雨や雪を降らせるような低い雲に覆われたとき、空はまさに鉛のような色になります。
 正岡子規の自然を捉える目には優れたものがあったのですね。
 正岡子規は、秋の雲を「砂の如し」と表現しましたが、それは、うろこ雲などとよばれる巻積雲(けんせきうん)のことでしょう。
 巻積雲は氷の結晶からできている雲で、層が薄いため影もありません。
 雲が波打って見えたり、魚の群れや小石を並べたようにも見え、特に夕焼け空に横から照らされた姿は美しく、人目をひきます。
 通常5000メートル以上の高い空に現れて、ときには雲に青や緑、赤などの色のしまが見える「彩雲(さいうん)」とよばれる現象が見られることもあります。
 巻積雲は単独で現れることは少なく、はけで描いたようなすじ雲や薄くて白いベール状のうす雲、さらにひつじ雲などとも一緒に現れて、空はさまざまな姿の雲が織りなす芸術的な眺めになります。
 秋の空は、いつまで見ていても見飽きることはないでしょう。
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