夏になると日本列島は太平洋高気圧に覆われる日が続き、この高気圧のふちを流れる南風が吹きやすくなります。このような南風のことを「南風(はえ)」と呼ぶことがあります。
南風(はえ)は西日本を中心に広い範囲でおだやかで船乗りに喜ばれる風として、特に漁師たちに使われてきた言葉です。
また、真南から吹く風のことを「正南風(まはえ)」といい、南西の風を「南風西(はえにし)」ともいいます。
南風(はえ)は地名にも残っていて、沖縄県南風原町(はえばるちょう)、長崎県佐世保市には白南風町(しらはえちょう)や南風崎町(はえのさきちょう)といった所があります。
また、フグで有名な下関には南風泊(はえどまり)漁港があり、南風(はえ)を避けるために停泊したことから名付けられたと伝えられています。 |
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夏の季節に吹く風「南風(はえ)」は、梅雨の時期にはその特徴の違いによって分けることができます。
梅雨入りしたころの空は暗くどんよりとしていて、ぐずついた天気が続きます。そのような天気を黒という色であらわし、黒南風(くろはえ)と呼びます。
そして、梅雨の半ばになり荒れた天気のときの南風を荒南風(あらはえ)といいます。その後、梅雨前線が北上し梅雨が明けると、日本列島は夏本番の天気になります。空は明るく晴れ渡り、高気圧からの南風が吹いてきます。この風を黒南風に対して白南風(しろはえ)と呼びます。このように、昔の人は梅雨のころの天気の特徴とあわせて、「南風(はえ)」を黒南風、荒南風、白南風と表現したのです。 |