暖かくなるとともに、ツバメが元気に飛び回る季節がやってきました。日本に渡ってくるツバメの多くは東南アジアから台湾を経て北上してきます。
九州から関東にかけての地域では朝の最低気温が10度以上になるころ、それ以外の地方では最低気温が5度から8度くらいになったころにやって来るといわれています。
例年では沖縄県名護市で2月半ばに見られ、北海道の函館市で見られるようになるのは4月末のことになります。昔の農家の人々はツバメを「益鳥(えきちょう)」として歓迎していて、中には巣作りに必要な泥まで用意して待っていた人もいたようです。
その理由は、ツバメは夏になると田んぼや畑の上を飛び回り、害虫をえさとして捕ってくれるからです。もともと、ツバメはがけや洞くつに巣をつくっていたのですが、いつのころからか敵の多い危険な自然の中を避け、大切にしてくれる人間の住む、安全な建物などに巣をつくるようになりました。
しかし、最近は田畑が減ったり農薬が使われるようになったことで、えさになる虫も減ってきています。また、都会では地面がアスファルトなどに覆われてしまい、巣作りに必要な土が減っています。そのため、ツバメの数は減ってきているようです。
身近だった鳥が私達の暮らす街から姿を消していくというのは少し残念な気がしますね。 |
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ツバメは2月から4月ころにかけて日本各地に姿を現し、渡ってくるなりすぐに巣作りにはげみます。
ツバメの巣は泥と枯れ草をだ液でこねあげてつくられるもので、その作り方は、下地にわらと水と土を混ぜたものを塗る日本の伝統的な「土壁」とよく似ています。そのため、ツバメの巣はたいへん丈夫で、かれらは補修をしながら毎年同じ巣を使い続けているのです。
5月上旬から中旬にかけては産卵の時期です。親鳥は巣を横取りしようとするスズメに注意しながら子育てをし、立派に育ったひなは次々に巣立っていきます。巣からひながいなくなる6月中旬から下旬になると、親ツバメはもう一度産卵をし、子育てを始めます。
このように、ツバメは一夏に2度ないし3度も繁殖をするのです。そのご、繁殖の時期を終えたツバメは巣立ちをし、8月ころに町中から姿を消しヨシ原(はら)へと移ります。
ツバメは寒さに弱いため、気温が5度くらいになると活動が鈍って飛べなくなるといわれています。そのため、寒くなる前の9月から10月のうちに徐々に南の地方へと渡りを始め、日本をあとにするのです。
ツバメの一年は春と秋に長距離の渡りをし、一夏に2度の子育てをするというたいへん忙しいものなのです。 |