まだまだ厳しい寒さは続きますが、草や木は春の準備を始めています。西日本や東日本では、まだ寒い春先にほかの花に先駆けて咲く花として「梅」があり、すでに庭で梅の花がほころんでいる家庭もあるのではないでしょうか。
この生命力から、梅は松や竹と合わせて「歳寒三友」(さいかんさんゆう)として、正月や慶事の飾り物など、おめでたいときに用いられています。今では「日本の花」というと桜という印象が強いですが、その昔は梅の方が桜よりも人気がありました。
万葉集には萩に続いて2番目に多く登場していて、昔の日本人の梅への関心の高さがわかりますね。
梅はその花の色から、白梅、紅梅に大きく分けられます。しかし梅は非常に変異性に富む植物で、花の形や樹の姿、枝や葉も複雑な変化を生じ、現代では、その種類は300種以上もあると言われています。 |
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梅は300種以上の種類があり、分類するのは大変です。大きくは梅の実をつけるものを「実梅(みうめ)」、花を観賞するものを「花梅(はなうめ)」といったり、花の色で白梅、紅梅といったりします。
しかし、花の色に限ってみても種類によって色味や変化などが微妙に違い、その特徴によって以下のように表現されます。
花びらにつやのある明るい紅色のものは「本紅」、また、つぼみのうちはピンク色をしているが、開花すると白に変わるものを「移白(うつりじろ)」と言います。
反対につぼみのうちは白い色をしているが、開花すると紅色になるものは「移紅(うつりべに)」です。
そのほか、花弁の周辺が縁取りしたように紅くなっており、芯の部分が淡い色になるものを「口紅」といいます。
その他にも絞り染めになる「絞り」や、花弁の裏が紅色で表面が淡色の「裏紅」など、さまざまなものがあります。
梅の花を観賞する時は、花の色にも注目してみるといっそう楽しめるかもしれませんね。 |